読売テレビニュース
以下、「【専門医に聞く】今年のインフルは変異株「サブクレードK」が流行 ワクチンの効果は?流行は長期化? 」の概要欄より
◇中谷しのぶ キャスター
インフルエンザの流行がピークを迎えているということで、ここからは大阪・りんくう総合医療センターの倭正也先生に現状をお話しいただければと思います。
◇中谷しのぶ キャスター
こちらのグラフは大阪の定点あたりの患者数です。4日の発表が31.45人。ピンク色が警報ですので、依然警報レベルではあるんですが、少し下がってきてるかなという傾向も見えています。倭先生、現場での実感はいかがでしょうか。
◇りんくう総合医療センター 倭正也 医師
現場で見ていますと、ちょっと収まりつつあるかなということは、肌感覚で思います。ただこの1週間、24日が祝日にあたっていましたので、その分が定点機関に受診されずに、休日診療所とかで診療されると、この数に入ってきませんので、まだまだ予断は許さないかと思っております。
◇中谷しのぶ キャスター
近畿各地の休校も増えていまして、こちらをご覧ください。
休校数が右肩上がりに各地なっています。和歌山と滋賀は、2週間前まで注意報だったんですが、警報に切り替わりました。やはり流行を実感できると思うんですが、今年流行しているのは、インフルエンザA型の変異株。「サブクレードK」です。
「サブクレードK」の特徴は何かといいますと、
症状は他のものと大きく変わらないということなんですが、ワクチンがやや効きにくい。これ気になるんですが、倭先生どういうことなんでしょうか。
◇りんくう総合医療センター 倭正也 医師
今回、変異株という言葉が出ていますが、大きくシフトしているわけではなく、既存のものから少しドリフトという形になります。ただ、今年打っているワクチンとは少し型が違って、外れているんですが、イギリスのデータを見ると、特に小児で救急外来受診されたり、70%以上の効果があると言われてますので、あまり心配なされずに、しっかりとワクチンを打っていただければと思っております。
◇中谷しのぶ キャスター
2つ目は「感染のしやすさ」です。
変異株なので、抗体を持つ人が少なくて感染拡大しやすい。だから流行が広がっているということなんですが、変異株だからこそ、感染しやすいというところもあるんでしょうか。
◇りんくう総合医療センター 倭正也 医師
これまで流行していないので、それに対する抗体を皆さん持っていませんし、また今年のワクチンも完全ではないので、その通りかと思います。
◇中谷しのぶ キャスター
「サブクレードK」というのは、今年初めて出てきた変異株なのか、これまでにもあった変異株なのかいかがでしょうか。
◇りんくう総合医療センター 倭正也 医師
最近、コロナでPCRとか変異株とか、非常に皆さん方よくご周知になるようになってました。インフルエンザでも出てきてますが。細かくなりますが、A(H3N2)の中で『J.2タイプ』というのがあって、『J.2』の後に『J.2.1』だとか『J.2.4』とかがあるんです。『J.2.4.1』で、またさらに細かくなったのが、もう名前が長いから『K』にしましょうという形だと思います。初めて出てくることは、初めてですね。
◇中谷しのぶ キャスター
インフルエンザワクチンというのは、毎年どういうものを混合するかというのを決めるのですよね。
◇りんくう総合医療センター 倭正也 医師
WHOで、要するにA(H1N1)はどれにしようか、A(H2N2)はどれにしようか、Bについてはビクトリア系と3つが今入ってます。
A(H2N2)は、どうしても毎年細かな変異が入りやすいので、なかなかどんびしゃりとしては難しいんですが、重症化予防の観点では、子ども、それから大人の方でも、ちゃんと予防効果があると出てますので、心配なさらずにワクチンを打っていただければありがたいかなと考えています。
◇中谷しのぶ キャスター
3種が混合されているということなんですね。
今年、下痢をする方が多いという声も聞かれるということなんですが…
変異株だからということはなくて、ウイルスなので下痢、消化器症状というのはよくあることだということなんですが、倭先生そうなんでしょうか。
◇りんくう総合医療センター 倭正也 医師
インフルエンザやコロナもそうですけど、ウイルス全般に全身の臓器に影響が出ますので、下痢の症状がでる方もいると思います。ただ「サブクレードK」が特に下痢が多いかどうかということは、今のところ詳細は分かっていませんが、今後我が国でもいろんな臨床情報が集まれば、詳細が色々分かると思います。今のところ特に大きく心配することはないんじゃないかと考えています。
◇中谷しのぶ キャスター
例えば、ワクチンをまだ打っていなくて、ただもうインフルエンザに今年かかってしまった。自分に抗体ができているのではと考え、ワクチンの接種が必要なのか迷われている方もいるかもしれません。そういった方に対しては、ワクチンはやはり打った方がいいと。先ほど話にもあったように、3種混合なので、A型にかかってもB型への予防になったり、別の型への予防になる点。
そして接種のタイミングは、体調回復後に可能ということで、この間隔については、倭先生、どれくらい空けたらいいとかありますか?
◇りんくう総合医療センター 倭正也 医師
よく患者さんから聞かれるんですが、何ヶ月空けたらいいとか、そういったことは決まったものはありません。体調が回復したら、ワクチンを打っていただいたらいいかなと思います。あまり無理せずに、治ったらいきなりということは必要ないので、ワクチンを打って熱が上がり身体にかかる負担がありますので最低2、3週間程様子見ていただいた方がいいかと思います。
ただ、AにかかってBにかかる方は、一定数いらっしゃいますので、そういった意味でも予防接種をお考えいただければありがたいです。
◇中谷しのぶ キャスター
A型が少しずつ減ってきている一方で、今年なんですがB型が大阪でも増えてきている。B型がこれから来るのかなという気配があるんですけれども、倭先生、実感としていかがですか。
◇りんくう総合医療センター 倭正也 医師
本当にコロナの影響で、ここ数年あまり予想しないような流行パターンが出ています。例えば、2023年はAの2つのタイプと、Bが遅れて3つ流行ったりしました。2024年はA(H1)が多かった。今年が今、A(H1)のピークが一旦これで下がってくるのか、あるいはまた来週上がるか分からないですけれども、Bは確実に年明けぐらいから出てくるんじゃないかということは言えるかと思います。
◇中谷しのぶ キャスター
先生から、過去の流行のパターンの話がありましたが、2023年から2024年にかけてのインフルエンザウイルスの型の検出の割合です。9月はA型が多く、9月から12月にかけては、A型が多かったものの、その後Bが占めてきて、またAが増えてくるというパターンもあるということなんです。
気になるのは流行がいつまで続くかです。
A型のピークは過ぎた可能性もありますが、今後B型など違う株が流行ることもある。例年だと流行期間が12月から始まって、2月がピークなんですが、流行期間が、今年は10月から始まって、今がA型のピーク。この後、長引くんではないかということで、倭先生いつぐらいまで続くことが予想されますか。
◇りんくう総合医療センター 倭正也 医師
なかなか予測難しいですが、先ほどイギリスの直近を調べると、イギリスも1週間か2週間あまり、一瞬ちょっと下がってまた増えてきました。A(H1N1)も少しずつ出てるみたいです。インフルエンザが年内に、Aだけど終わって1月以降何もないということは少し考えにくいですので、Aのもう一つのパターンや、B型が流行すると考えた方が自然かなと考えております。
マスクは常に症状のない方もするという時代というか、症状のある方は、できたらインフルエンザとかコロナと分かってる方は出歩かずに、ご自宅で安静にしていただきたいです。症状のある方はマスク、あるいは咳をする時は咳エチケット。基本的な感染対策をして、周りに広げないようにしていただいたら、大変嬉しいです。
◇中谷しのぶ キャスター
最後に1点なんですけれども、コロナの今年の患者数は冬がピーク。
そして夏もピークということで、これから先また増えてくる可能性はあるんでしょうか。
◇りんくう総合医療センター 倭正也 医師
コロナにつきましては、年2回ピークがあり、新しい免疫回避能力をつけてどんどん変異しています。それに対して新しいワクチンを打っていただける方が、年々減ってきていますので、また流行があると思います。
2023年が、1月以降の2つ目のインフルエンザのピークの時にB型が出たと同時に、コロナの同時流行あったので、基本的な感染対策は一緒ですので、引き続きワクチンを打てる方は、インフルエンザ・コロナと打っていただいたり、感染対策をやっていただいたら、ありがたいかなと思っております。
◇中谷しのぶ キャスター
気をつけていきたいと思います。ここまでりんくう総合医療センターの倭先生にお話を伺いました。ありがとうございました。
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