少しずつ買収を進める“プランB”も?徹底抗戦の行方は…日本製鉄が米大統領ら提訴【報道ステーション】(2025年1月7日)

ANN news CH

以下、「少しずつ買収を進める“プランB”も?徹底抗戦の行方は…日本製鉄が米大統領ら提訴【報道ステーション】(2025年1月7日) 」の概要欄より

日本を代表する企業が現職のアメリカ大統領を訴えた前代未聞の事態。提訴した日本製鉄の橋本英二会長が7日、記者会見を行いました。アメリカのUSスチールの買収を禁じたバイデン大統領を厳しく批判するとともに「買収を諦めるつもりはないし、諦める必要もない」と徹底抗戦の構えを示しました。

■「バイデン氏の違法な政治介入」

冒頭から、アメリカの大統領に対して怒りを露わにしました。

日本製鉄 橋本英二会長
「到底、受け入れることはできません。憲法あるいは法令に明確に違反したものだと示されていくと確信している。勝訴のチャンスはあるということで提訴に踏み切った。米国の事業遂行を決して諦めることはない。諦める理由も必要もない。日本製鉄、USスチールで一致した考え方」

USスチールの買収禁止を命じたバイデン大統領らを相手取り、6日にアメリカの裁判所に提訴したことを明らかにした橋本会長。バイデン氏の判断について“違法な政治的介入があった”と主張しました。

日本製鉄 橋本英二会長
「米国市場での優位性の確保を目的に、当社の米国参入を阻止したいUSスチールの競合メーカー、クリーブランド・クリフス社、ゴンカルベスCEOが不可解だが全米鉄鋼労働組合の組合長と連携し、組合の強大な政治力を利用してバイデン大統領に働き掛けた。審査手続きも適正に実施されないまま今回の大統領令に至ったもので、到底、受け入れることはできない」

日本製鉄によるUSスチールの買収はおととしの12月に両社で合意しました。しかし、アメリカの一部の議員や全米鉄鋼労働組合などが猛反発。アメリカへの投資の妥当性を審査する政府の委員会『CFIUS』は「結論に至らない」としてバイデン大統領に委ねました。そして今月「安全保障上の懸念」を理由に買収禁止の大統領令が出されたのです。来月2日までに買収計画を「完全かつ永久に放棄」することを求めています。

■USスチール買収に事業の“活路”

日本製鉄 橋本英二会長
「今後のアメリカの産業政策、エネルギー政策を考えると高級鋼の需要が伸びるので、当社の技術力・商品力が期待される市場。何としても米国事業は当社のグローバル戦略に欠かせない」

年間の生産量は4300万トンと世界4位を誇る日本製鉄は、鉄鋼需要が見込めるアメリカに事業拡大の活路を見出す狙いがあります。一方、経営難に陥るUSスチールは、雇用の確保や生産能力の強化などが期待できるとしていて、両社はウィンウィンの関係を強調しています。

日本製鉄 橋本英二会長
「買収による両社のパートナーシップが、それを解決する唯一の手段。」

■地元市長「製鉄所がなければ…」

USスチールの地元、クレアトン市の市長は、7日の会見前に日本製鉄の幹部と会談したことを明かしました。

クレアトン市 ラッタンジ市長
「日本製鉄の幹部は私たちに『一緒に戦い続けてくれ。これまで通り、議員と対話を続けて、可能ならトランプ氏とも話をしてほしい』と頼みました。私たちは(トランプ氏に)書簡を送り、会談を求めます」

自身も元USスチールの従業員。トランプ次期大統領に買収を認めてもらうよう直訴するといいます。

クレアトン市 ラッタンジ市長
「私は30年間USスチールで働き、両方の立場を見てきました。私は組合に入っていたし、組合の代表も務めました。製鉄所はここクレアトンの税収の30%を占めています。製鉄所がなければクレアトン市は成り立たない」

USスチールの従業員は…。

USスチール従業員
「私は(買収禁止に)反対です。日本製鉄が提示した条件では10年間の雇用が保証されます。今よりも好条件です」
(Q.なぜ日本製鉄による買収が最善だと)
「日本製鉄は我々に数十億ドルを投資する用意があるからです。この工場だけでも数百万ドルの修理が必要ですが、USスチールは何もしていません」

■カギ握るトランプ氏の“意向”

こうしたなか、アメリカの外交トップが日本を訪れました。

ブリンケン国務長官
「日米の経済は非常に密接に結びついており、お互いにとって最大の投資国同士です。強靱(きょうじん)なサプライチェーンの構築、重要鉱物の安全保障、AIのルール形成などにおいて協力しています」

カメラの前では友好関係をアピールするものの、USスチールの買収問題も話題にあがったといいます。

岩屋毅外務大臣
「両国にとって利益のあることだと当方は考えているだけに、USスチールの労働者側からも本件を支持する声が上がっていた中で、今回、国家安全保障上の懸念を理由として買収を禁止する判断は極めて残念であると申し上げました。また、日米双方の経済界とりわけ日本の産業界からは、今後の日米間の投資について強い懸念・心配の声が上がっています。これは我々としても重く受け止めざるをえないと」

国家間の問題にエスカレートした今回の買収計画。カギを握るのは、2週間後に就任する大統領の意向です。

トランプ氏のSNS
「関税によってUSスチールは、より収益力があり価値がある企業になるのに、なぜ彼らはいま売却したいのだろうか」

買収に否定的なトランプ氏。ただ、日本製鉄は一縷の望みを託しているようです。

日本製鉄 橋本英二会長
(Q.トランプ次期大統領にどう買収の意義を伝えていくか。受け入れてもらう方策があるのか)
「トランプ次期大統領がずっと仰っているのは、製造業をもう一度強くしたい。白人労働者を中心として製造業の労働者にもう一度、豊かな暮らしと明るい未来を与えたいという趣旨。その趣旨に沿っているわけですよ、まさしく。それを説明をしていくことで、ご理解を得られると思っています」

■日本製鉄“徹底抗戦”の行方は

訴訟は今後どうなっていくのでしょうか。アメリカの法律事務所に所属し、企業買収などに詳しい、井上朗弁護士に聞きました。

ベーカー&マッケンジー法律事務所 井上朗弁護士
「今回の大統領令は司法審査の対象外。『手続きが政治的にゆがめられた』というのが日本製鉄側の主張だが、その“判断のゆがみ”も司法審査に服さない。提訴しても十中八九、棄却されるのではないか」

ベーカー&マッケンジー法律事務所 井上朗弁護士
裁判の手続きを進めていくうちに“30日間”の期限がきてしまうため、“今回の買収計画を放棄する”という文書を提出せざるを得ない状況になるだろう」

日本製鉄の橋本会長は「勝訴できる可能性はある」としています。トランプ氏が大統領に代わったら状況が覆る可能性はあるのでしょうか。

ベーカー&マッケンジー法律事務所 井上朗弁護士
「現大統領令を取り消したうえで、トランプ次期大統領が新しい判断をすることは法制度上は可能だが、翻意する可能性は低いのではないか」

ベーカー&マッケンジー法律事務所 井上朗弁護士
「現実的にはいったん100%子会社化を諦め、経営権を握らない形で出資する。その後、時間をかけて保有株の比率を増やしていく方法もあるのでは。つまり、アメリカがのめる形で少しずつ実質的な買収を進める“プランB”もあるのではないか」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp




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