~約40年間未利用の駅前敷地を再生し、地域と共存する建築デザインと取り組みが評価~
「なにわラグジュアリー」を体感できる「街ナカ」ホテル「OMO7大阪(おも) by 星野リゾート」は、2025年8月4日に日本建設業連合会が主催する「日建連表彰 第66回 BCS賞」を受賞し、11月28日には表彰式が挙行されました。約40年間使われなかった敷地に単にホテルをつくるということに留まらず、建築のもつ力と、地域と共存するホテルの取り組みが合わさり、街の空気を一変させたことで、大きな地域貢献を果たした点が評価されました。


「日建連表彰 第66回 BCS賞」について
都市形成や地域環境づくりに理解を示す建築主、設計者の豊かな創造力、高い技術の施工者の3者の総合力が必要であるという思想に基づき、建築主・設計者・施工者の3者を対象とし、選考の上表彰されています。
審査講評
約40年間利用されて来なかった敷地に新たなホテルが誕生した。観光客のニーズを捉え、単なる宿泊型から体験型へシフトし、ご近所マップをつくり、OMOレンジャーが周辺地域へと溶け込んでいる。街の空気を一変させたこの作品は、地域と永く共存し続けるであろう。
選定理由
計画地は、社会のオモテとウラが隣り合わせにあるような、決してポジティブなイメージではない場所で、約40年間利用されてこなかった。2016年、大阪市によるホテル事業者公募が行われ、星野リゾートが事業者として選定された。計画が進む中で、2019年に大阪商工会議所が「グレーターミナミ構想」を、2020年には大阪市が「新今宮駅北側まちづくりビジョン」を策定し、プロジェクトを通してさまざまな社会課題の解決が進められた。
この広大な敷地の活用にあたって、「駅に向かった緑あふれる大きな広場がつくられたらおもしろそう、おもしろければイメージががらっとかわるのではないか」という発想により、「みやぐりん」という緑豊かな大きなオープンスペースが生まれた。ホテル棟は、敷地北側に寄せて配置し、フロントレベルを新今宮駅のホームと合わせることで、奥行き感をつくりながらお互い見る見られるの関係が生まれている。フロント周辺は、さまざまな機能が緩やかに繋がり、どこにいても屋外の「みやぐりん」を感じられ気持ちよい。大きく跳ね出した庇の下にテラスが広がり、緑豊かな斜面や電車の行きかう姿を見てゆっくりと過ごせる。客室も宿泊型のホテルとは異なり、数多くのバリエーションが用意されており、観光客のニーズを確実にとらえている。屋外のアイコニックな湯屋や、緩やかな斜面に設けられた居場所が宿泊客を飽きさせない。
ファサードは、法的に必要なバルコニーをどのようにデザインするかがポイントであり、板状の大きな壁面に北前船を想起させる膜を採用し、階数が分からないようにランダムな開口が開けられ、動きのあるデザインが表現されている。夜になると、フルカラーのLEDにより大きなキャンバスに映像が映し出され、宿泊客のみでなく駅や街を明るく照らしている。
フロント前には、大きな「ご近所マップ」が用意されており、事前に地域に溶け込んだスタッフが調べ上げた最新情報が提供されており、ホテルでの食事を促すのではなく、周辺地域への人流れをつくっている。また、「OMOレンジャー」という街のナビゲーターが、街を一緒に案内してくれるサービスもあり、地域との共存に大きく貢献している。
この作品は、40年間使われなかった敷地に単にホテルをつくるということに留まらず、街を生まれ変わらせ、治安を改善するという大きな地域貢献を果たしており、建築のもつ力をいかんなく発揮している。さらに、観光客の旅のテンションを上げることにも成功し、新しい宿泊施設のあり方を示しており、事業者、設計4社、施工JVが見事にコラボレーションして生まれた秀逸な作品といえる。
設計者
建築主:星野リゾート
基本構想:日本設計+東 環境・建築研究所
設計監理:日本設計
内装デザイン:東 環境・建築研究所
湯屋デザイン:岩田尚樹 建築研究所
ランドスケープデザイン:オンサイト計画設計事務所
施工者
竹中工務店・南海辰村建設共同企業体
【参考】OMO7大阪の特徴的なハードの紹介
■緑豊かな広大なガーデンエリア「みやぐりん」
ランドスケープデザイン:オンサイト計画設計事務所
「みやぐりん」は、都市部にありながら緑を感じられるガーデンエリアで、敷地の半分となる約7,600平米の大きな芝生広場です。それを囲う段々のデッキテラスや散策路などで構成された、緑の丘のようなエリアで、芝生や高木による冷却効果と日射遮蔽効果によって、環境負荷を低減する役割を果たしています。ナイトタイムには、大阪の活気やグルメ、エンターテインメントを凝縮した「OSAKA PIKAPIKA NIGHT」を毎晩開催し、開放感あふれる広場で、寝る直前まで大阪の街を楽しみつくす体験を提案しています。
■旅のニーズにあわせて選べる全8タイプの多彩な「客室」
内装デザイン:東 環境・建築研究所

客室は8タイプ全436室。特徴的な客室タイプのひとつが約60平米の「いどばたスイート」です。リビング空間には、大阪の代表的な観光スポットが描かれた「OSAKA ボード」と、大きなテーブル、ソファを配しました。井戸端会議さながらに、旅の作戦会議など自由気ままにおしゃべりできます。最大6名まで宿泊できるので、ファミリーやグループでひとつの部屋に滞在できるのも魅力です。ゆっくり休みたいときには客室の四隅に位置するベッドスペースで。いどばたスイートの他、二面の大きな窓から大阪の街を一望できる「コーナーツインルーム」をはじめ、旅のニーズにあわせて選べる多彩な客室を用意しています。

■大阪のお風呂屋文化を感じる外観と外に通じる天窓が特徴的な「湯屋」
湯屋デザイン:岩田尚樹 建築研究所
エキサイティングな体験が連続する旅の合間には広いお風呂でリラックスを。みやぐりんに併設されている湯屋は、大阪にお風呂屋文化が花盛りとなった時代を参考に「光と影」を表した外観が特徴です。天井部分には外に通じる天窓があり、浴室にいながらも、外の空気を感じることができます。外から光が差し込む時間帯には、浴室内に光がやさしく反射し、白い異空間のようです。

■ディープな仕掛け満載!全長約85mの開放的な空間「OMOベース」
内装デザイン:東 環境・建築研究所
「OMOベース」は大阪の旅を楽しくするディープな仕掛け満載のパブリックスペースです。 全長約85メートル、高さ約 5メートルの開放的な空間には、街の情報がつまった「ご近所マップ」に加えて「OMOカフェ&バル」「OMOダイニング」「ライブラリーラウンジ」を有しています。ご近所マップには、OMOレンジャーが実際に足を運んで見つけたおすすめのスポットを60店舗以上掲載し、ガイドブックでは知り得ない、新たな街の楽しみ方を提案しています。

【参考】街に溶け込むOMO7大阪の取り組み
■「Go-KINJO」の楽しみ方の提案
「Go-KINJO」は、街に精通したスタッフ「OMOレンジャー」が、ディープな街歩きから人気の観光スポットの攻略法まで、地域の詳細な情報を元に、とっておきの楽しみ方を提案するサービスです。「ご近所マップ」の掲示の他、ホテル館内外でホテル周辺の魅力をお伝えする「ご近所アクティビティ」にて、街の楽しみ方を提案しています。新世界エリアをガイドしながらディープなスポットにご案内する「ほないこか、ツウな新世界さんぽ」や、近くの市場で大阪のだし文化を紹介する「ええだし出てますわツアー」は、知らなかった街の魅力を知ることができたと参加者からも好評のアクティビティです。

OMO7大阪(おも)by 星野リゾート
設計監理:日本設計
2022年4月22日に開業した、OMOブランドのホテルです。新今宮駅の目の前に位置し、交通の便が良く、観光スポットへのアクセスも抜群です。当ホテルでは、環境に配慮した建築技術を導入しています。その一つが、国内初となる建築設計でアルミフレームの外装に白い膜を張る構造です 。この特殊な外装膜(フッ素樹脂酸化チタン光触媒膜)は、日射の78.5%を反射・拡散することで日射負荷を低減し、窓から入る日射量を30%〜45%も軽減する効果が検証されています 。また、熱容量の小さい膜材で熱容量の大きなコンクリート躯体を包み込み遮熱することで、都市部のヒートアイランド現象の緩和にも貢献しています 。

所在地 :〒556-0003 大阪府大阪市浪速区恵美須⻄3丁目16-30
電話 :050-3134-8095(OMO予約センター)
客室数 :436室・チェックイン:15:00/チェックアウト:11:00
アクセス:新今宮駅(JR・南海電鉄)目の前、
動物園前駅(Osaka Metro 御堂筋線・堺筋線)、
新今宮駅前駅(阪堺電気軌道)から徒歩3分
URL :https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/omo7osaka/
「OMO(おも)」とは?
「OMO」は星野リゾートが全国に展開する「テンションあがる『街ナカ』ホテル」。街をこよなく愛するスタッフが地域の方々と仕掛ける、新感覚のホテル。思いもよらない魅力に出会い、知らず知らずのうちにその街までお気に入りに。現在16施設を展開し、2026年1月には「OMO5横浜馬車道」、4月には「OMO7横浜」の開業を予定しています。
▼OMOをもっと知りたいなら▼
https://hoshinoresorts.com/ja/brands/omo/

■星野リゾートの「勝手にSDGs」
星野リゾートは、経済価値と社会価値を両立する「CSV経営」(*1)を重視し、サステナビリティ推進に取り組んでいます。1914年に長野県軽井沢町で「星野温泉旅館」を開業し、1917年には自力で木製水車による水力発電を開始。さらなる電力を得るため、1929年に第一水力発電所を完成させました。1990年代からは本格的に環境経営に取り組み、エコツーリズムの推進や廃棄物の削減など、SDGs (*2)誕生前から本業を通じて地域の課題解決に取り組んできました。現在はSDGsを「CSV経営の推進ツール」と捉え、「社会から求められる義務ではなく、自らの価値観に基づいて主体的に取り組む」という想いを込め、当社の取り組みを「勝手にSDGs」と題してご紹介しています。
https://hoshinoresorts.com/jp/aboutus/sdgs/
*1 CSV : 共通価値の創造。企業が本業を通じて社会課題の解決を目指すアプローチ
*2 SDGs : 持続可能な開発目標








