日経平均株価は2024年、35年前に史上最高値をつけて以来、初めて最高値を更新した。株価の急騰をけん引しているのは、外国人投資家だ。著名投資家ウォーレン・バフェット率いる米投資・保険会社バークシャー・ハサウェイは日本株市場に、数十億ドルをつぎ込んでいる。ただ、前回の番付作成の時点と比べ、対ドルでの円の価値は15%ほど下落しており、株価の上昇にともなう利益は、それによって一部が帳消しになっている。番付全体を見ると、この1年間で資産を増やした富豪は16人。ランク入りしたビリオネアたちの半数以上が、資産を減らした。
番付の首位は、今回もファーストリテイリングの会長兼社長、柳井正だった。柳井の資産額は、前年より約26億ドル多い約380億ドル(約5兆9200億円)となっている。
2位にはソフトバンクグループの創業者、孫正義が返り咲いた。ドル建てでみた保有資産は、前年より約61億ドル多いおよそ270億ドル。最新の番付に入った富豪の中で、最も大幅に資産を増やした。ソフトバンクグループは2023年9月に実現した傘下の英半導体設計会社Arm Holdings(アーム・ホールディングス)の新規株式公開(IPO)により、50億ドル以上を調達している。
3位はファクトリー・オートメーション用センサなどを手掛けるキーエンスの創業者、滝崎武光だった。前回から1ランク下げた滝崎のドル建ての資産額は、番付に入った富豪たちの中で最も大きく減少しており、およそマイナス16億ドルとなる推定210億ドルとなっている。4位は歴史あるサントリーホールディングスを率いる佐治信忠とその家族。資産額は前年から10億ドル近く減り、約93億ドルだった。
5位につけたのは、半導体製造装置などを手掛けるDisco(ディスコ)の創業者一族、関家一馬とその家族。日本が半導体産業の復活に向け野心的な取り組みを進めるなか、ディスコの株価はここ1年ほどの間におよそ3倍に急騰しており、一家の保有資産は約74億ドルに増加した。前年比での資産の増加率は、番付入りした富豪の中で最も高い約150%となっている。また関家の順位は、前回の16位から大幅に上昇している。
今回、初めて番付に名前を並べた富豪は5人だった。そのうちの1人は、100年以上前に祖父の島野庄三郎が創業した自転車部品メーカー、シマノを受け継いだ現会長兼CEOの島野容三(20位、約24億ドル)。ほか4人の新顔は、以下のとおりとなっている。
他社に先駆け、小売にAI技術を導入する取り組みを推進してきたディスカウントストア・チェーン、トライアルを運営するトライアルホールディングスの創業者で代表取締役会長、永田久男(32位、約14億5000万ドル)。父親が創業した企業を受け継ぎ、決済サービスやストリーミング配信などの事業を展開するU-NEXT HOLDINGSの社長、宇野康秀(43位、約11億3000万ドル)。
国内最大規模のうどんチェーン、丸亀製麺を運営するトリドールホールディングスの創業者、粟田貴也(49位、約10億ドル)。AIを駆使した中小企業の合併・買収(M&A)を仲介するM&A総合研究所の創業者、33歳の佐上峻作(41位、約11億5000万ドル)。佐上は、今回の番付に入った最年少の富豪でもある。
そのほか、最新版ではただひとり、非上場のホテルチェーン、アパグループ創業者の元谷外志雄が、ランキングに復帰している(27位、約17億ドル)。新型コロナウイルス感染症のパンデミックが落ち着きを見せ始めて以降の旅行者の急増が、業績の改善につながった。50位の資産額は今回、前年の9億6500万ドルから9億8000万ド
ルに増加していた。
以下、2024年版「日本長者番付」のトップ10を紹介する。
1位 柳井正(ファーストリテイリング)/380億ドル(5兆9200億円)
2位 孫正義(ソフトバンク)/270億ドル(4兆2000億円)
3位 滝崎武光(キーエンス)/210億ドル(3兆2700億円)
4位 佐治信忠(サントリーホールディングス)/93億ドル(1兆4500億円)
5位 関家 一家(ディスコ)/74億ドル(1兆1500億円)
6位 高原豪久(ユニ・チャーム)/62億ドル(9650億円)
7位 重田康光(光通信)/42億ドル(6530億円)
8位 森章(森トラスト)/41億5000万ドル(6460億円)
9位 安田隆夫(パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス)/41億ドル(6380億円)
10位 三木正浩(ABCマート)/40億5000万ドル(6300億円)
資産額は、2024年5月10日の株価と為替レートの終値に基づき算出した。
番付は、家族その他の個人、証券取引所、年次報告書、アナリストなどから入手した株式・資金に関する情報を基に作成した。リストに入った各氏の保有資産は、家族・親族の資産を含む場合もある。非公開会社の価値は、類似した公開会社との比較による推計となっている。番付には、日本国内に事業基盤や住居その他を持つ外国人、海外在住ながら事業その他の形で日本と深く関わっている日本人が含まれる。
詳細は下記リンク先を参照。
www.forbesjapan.com/feat/japanrich/
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