無二の作品世界はいかにして生まれるのか?
人気アニメの劇伴をはじめ、マルチな活躍によって圧倒的な支持を集める作曲家、梶浦由記さん。梶浦さんに長期密着取材を敢行したNHKBSのドキュメンタリーに大幅な追加要素を加えた一冊、『6,000曲の“パレード” 作曲家・梶浦由記 異才の流儀』がNHK出版より7月25日に発売になります。
梶浦由記ファン待望の一冊
「魔法少女まどか☆マギカ」「Fate/Zero」「ソードアート・オンライン」をはじめとする人気アニメ作品の劇伴のほか、人気歌手への楽曲提供や、ソロプロジェクトに及ぶマルチな活躍によって、老若男女、国内外を問わず圧倒的な支持を集める作曲家、梶浦由記さん。昨年デビュー30周年を迎え、海外コンサートツアーや、劇伴作曲家としては異例の武道館ライブに挑みました。そんな梶浦さんに初の長期密着取材を敢行したNHKBSのドキュメンタリーは多くの反響を呼びました。本書は、放送未公開部分や梶浦さんへの追加取材を大幅に加え、知られざる彼女の創作の極意とその人となりに迫る、ファン必携の一冊です。
目次
Overture KAJIURA Worldを彩る七つのキーワード
はじめに
第1部 KAJIURA Worldへようこそ ~梶浦音楽の生まれるところ
第2部 メイキング・オブ KAJIURA Sound
第3部 Intermezzo ~ちょっとMonologue
第4部 三〇年目のパレード
あとがき
「はじめに」より一部抜粋
「これをやらねば女がすたる」作曲家・梶浦由記の覚悟
「私がバーンとスイッチを放ち、みなさんのなかにある楽しさとか美しさを鳴らしてくれるから響きあうのです。そういう意味で私は音楽とは『一対一』のものだと思っています」舞台にいるピアニストはこう語り出した。その人は梶浦由記。
これは、私がドキュメンタリーの取材のため、久しぶりに梶浦さんのライブに行った時に目のあたりにした観客へのメッセージだ。このフレーズに私は心臓を摑み取られた。以来、私の音楽を聴く心構えが変わった。
「一対一」。そこには梶浦さんの観客への愛情がいっぱいに溢れている。それが梶浦さんの音楽哲学だと知った。
刊行を記念して、「はじめに」全文を公開中です。
梶浦由記
作詞・作曲・編曲を手掛けるマルチ音楽コンポーザー。1993年、「See-Saw」のコンポーザー兼キーボーディストとしてデビュー。2002年、『機動戦士ガンダムSEED』のエンディングテーマ「あんなに一緒だったのに」がヒット。その後、「Kalafina」をプロデュースするなど、現在はアニメを中心としたテーマ曲、劇伴音楽を数多く手掛け、2020年には作詞(共作:LiSA)・作曲を手掛けた『劇場版「鬼滅の刃」―無限列車編―』の主題歌「炎」(歌:LiSA)が第62回日本レコード大賞を受賞。アニメ作品以外にも、北野武監督・主演映画『アキレスと亀』やNHK 歴史情報番組『歴史秘話ヒストリア』、NHK連続テレビ小説『花子とアン』などの音楽も担当。デビュー30 周年を迎えた2023 年4 月、個人プロジェクト「FictionJunction」のアルバム、『PARADE』を9年ぶりにリリース。また世界規模で開催している「Yuki KajiuraLIVE」は20 回目を迎え、12 月、武道館2Days 公演『KajiFes.2023』を開催した。
著者情報
君塚 匠(きみづか・たくみ)
日本大学藝術学部映画学科卒業後、1991年『喪の仕事』で監督・脚本デビュー。以降、『ルビーフルーツ』『おしまいの日』『月』の脚本・監督。近作ではTVディレクターとしてNHK『小野田さんと、雪男を探した男』の演出(放送文化基金賞奨励賞・ATP賞テレビグランプリ奨励賞受賞)やドキュメンタリー、テレビドラマを多数監督。ADHDをテーマに脚本・監督・出演した『星より静かに』の公開が2025年に控えている。早くから梶浦由記の才能に注目し、映画『ルビーフルーツ』『月』にてタッグを組む。