【日本製鉄】「違法な政治的介入」に怒り心頭 会見で“バイデン”呼び捨ても 日米関係への影響懸念 裁判で勝てる可能性は?

日テレNEWS

以下、「【日本製鉄】「違法な政治的介入」に怒り心頭 会見で“バイデン”呼び捨ても 日米関係への影響懸念 裁判で勝てる可能性は? 」の概要欄より

日本製鉄によるUSスチールの買収計画に対し、バイデン大統領が中止命令を出したことをめぐり、日本製鉄側は命令の無効などを求める提訴に踏み切りました。7日の会見では同社会長が怒りをにじませました。前代未聞の事態に陥った背景や今後の影響を考えます。

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■日鉄会長、怒りのにじみ出る記者会見

藤井貴彦キャスター
「日本の大手企業がアメリカの大統領を提訴するという、前代未聞の事態です。日本製鉄側は7日、怒りのにじみ出る記者会見を行いました」

日本製鉄・橋本英二会長
「米国での事業遂行を決して諦めることはありません」「こともあろうにバイデン大統領の違法な政治的介入により、(買収中止の)大統領令に至ったものであり…」

「バイデンの不当な判断によって…」「本当に安全保障上の問題があるのであれば、とっくの昔にバイデンはこれ(買収計画)を承認しないと判断できたわけですよね」

■「中止命令」に不服…提訴に発展

藤井キャスター
「時折、大統領という肩書きを外してバイデン氏を呼んでいた、強い口調の会見になりました。バイデン大統領が日本製鉄によるUSスチールの買収計画に中止命令を出したことを不服として、日本製鉄は命令の無効などを求める訴えを起こしました」

「ここまでせざるを得ない理由はどこにあるのでしょうか?」

小栗泉・日本テレビ解説委員長
「一言で言えば、『裏切られた』という気持ちだと思います」

■ともに中国企業の脅威に対抗する狙い

小栗委員長
「まず、当事者である日本製鉄とUSスチールは、お互いに買収に合意している、いわば相思相愛の関係です」

「業績不振で自らの力では再建が難しくなっている、粗鋼生産量(2023年)世界24位のUSスチールを、世界4位の日本製鉄が救うような形で両社が合併すると、世界3位となります。中国企業の脅威にともに対抗するのが狙いでした」

藤井キャスター
「それに対して、“待った”が今回かかったということなのですね」

小栗委員長
「バイデン大統領は年明けすぐの1月3日、『この計画はアメリカの国家安全保障を損なう恐れがある』として買収の中止命令を出しました」

「ただ、これまで日本製鉄側はUSスチールの取締役の過半数をアメリカ国籍にすることや、買収後も労働者の雇用を守ること、工場の閉鎖や海外移転は行わないことなどを約束。むしろアメリカの安全保障を強化するものと主張してきました」

■同盟国の日本への「買収中止」は初

小栗委員長
「そしてもう1つ気になるのが、日米関係への影響です。これまで政府機関の審査を経て大統領が買収中止を命じた例は8件ありましたが、そのうち7件が中国の関連企業です。同盟国である日本の企業にこうした命令が出されるのは初めてのことです」

「日米の経済関係に詳しい野村総合研究所の木内登英さんは『日本はアメリカの仲間だと思っていたら実は仲間ではなかったと、日本の企業に大きなショックを与えている。今後の投資や輸出などにマイナスの影響があるのではないか』とみています」

葵わかなさん(俳優・『news zero』火曜パートナー)
「日本とアメリカはこれまで産業などでも深く関わってきたはずです。国同士ではなく友人同士に例えたとしても、不安感や不信感を残したまま関わっていくのは、お互いに良い関係が築けるものではないのかなと思います」

「これからも関わっていく相手同士として、歩み寄ることはできないのかなと思いますね」

■支持基盤の労働組合が強硬に反対

小栗委員長
「そうなるといいのですが、なかなか難しいようです。日本の外交関係者は今回の判断について『バイデン大統領の政治的な動きでしかない』と話しています」

「1つには、バイデン大統領の支持基盤である鉄鋼業界の労働組合が強硬に反対していて、バイデン大統領は組合を怒らせたくないという判断だということです」

「そして、どうせトランプ氏が大統領になったらアメリカ一国主義で買収に反対するので、ならば先んじて自分のレガシー(遺産)づくりをしたかったのではという見方もあります」

■強い対抗心…トランプ氏の判断は

藤井キャスター
「今後の裁判の見通しはどうでしょうか?」

小栗委員長
「アメリカ政府の対応に詳しい井上朗弁護士は『(日本製鉄側が)勝てる可能性は非常に低い。ただ、提訴したことは大統領の判断に政治判断が入っていたことを強く訴えかける意味はある』と話しています」

藤井キャスター
「もし日本製鉄の買収の話がなくなれば、困るのは自力での再建が難しいUSスチールです。バイデン大統領への対抗心が強いトランプ氏が判断を覆す可能性はあるのか。1月20日にはトランプ大統領が誕生します」
(2025年1月7日放送「news zero」より)

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