メカニズムから応用まで体系的に捉える
日刊工業新聞社(代表取締役社長:井水治博 本社:東京都中央区)は、書籍『今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい空気圧の本』を7月21日に発売します。
空気圧の歴史は古いものの、目に見えない空気を測るのは非常に難しく、応用分野は限られていました。そうした中、計測技術が進歩すると同時に、半導体や食品、医療機器といった産業分野が発展していきます。クリーンで扱いやすい空気圧の応用も加速します。空気圧の応用範囲の拡大に期待が高まっています。
本書では、圧力と温度、湿度によって変化する空気圧のメカニズムをひも解き、応用事例まで解説します。機械の駆動源としての魅力を引き出します。
・目に見えないエネルギーである空気圧の原理から応用まで体系的に捉える!
空気圧の利点は、油圧より漏洩による人体・環境への影響が少なく、電気より省スペース・軽量化である点です。欠点は、圧力と温度、湿度の影響を受けやすいために制御・計測が困難な点です。
外的要因によって変化しやすい空気圧をメカニズムからひも解くことで、空気圧のエネルギー変化を理解するよう促します。
・日本の空気圧研究における第一人者による初級者向け解説書!
約50年前の空気圧利用は、埃やチリを吹き飛ばすブロアーが主流でした。そのような脚光を浴びない空気圧に対し、著者である香川利春氏は興味をひかれ、研究に取り組みます。
いまでは、半導体・食品・医療機器など衛生条件の厳しい業界での採用が増えた空気圧。長年、空気圧の技術を見てきた香川氏だから分かる、技術発展にもスポットを当てます。
・イラストでも解説するので、わかりやすい!
1項目を見開きで展開し、64項目で空気圧の全体像を解説します。
本文だけでは理解が難しいところを、イラストで解説。理解を促すようサポートします。
・目次
第1章 空気圧とは
1 空気圧の秘密「駆動技術としての特徴」
2 空気圧の歴史「紀元前から利用されてきた」
3 まずは原理を知ろう「圧力差が生み出す力」
4 空気の組成と質量「空気には重さがないという常識」
5 空気の状態表示「圧力、温度および体積」
6 圧力と温度の関係「表示の違いを知る」
7 基準状態と標準状態「空気の状態を揃える」
8 空気圧シリンダと電動アクチュエータの効率比較「電動を上回る効率性とは」
第2章 空気の圧縮性の役割
9 空気の圧縮性「空気圧と油圧」
10 空気圧容器の充填「流量とは」
11 空気圧シリンダの速度制御「シリンダ内の圧力」
12 空気の状態変化「等温変化と断熱変化」
13 等温化圧力容器「ボイルの法則を再現する」
14 非定常流量発生への応用「断続する空気流量」
第3章 空気の温度変化
15 空気には比熱が2つ存在する「熱力学の第一法則」
16 空気の圧縮と膨張による温度変化「気象から学ぶ」
17 空気を圧縮するディーゼルエンジン「産業界を代表する空気圧システム」
18 容器内空気の平均温度測定法「ストップ法」
19 等温化放出法「新JIS B 8390-2 ①」
20 大気圧変動が電磁弁特性試験法に及ぼす影響「新JIS B 8390-2 ②」
第4章 空気圧における流体力学と流量の表記
21 電気抵抗と空気圧抵抗の比較「ベルヌーイの定理」
22 流量特性の近似と簡易流量式「空気圧電磁弁の流量計算」
23 空気圧管路の流れ「圧力損失」
24 層流と乱流流れ「レイノルズの法則」
25 空気圧における分岐と合流「配管の接続」
26 空気圧における流量計測「代表的な7つ」
27 層流形高速応答流量計「層流の圧力損失から求める」
第5章 空気圧システムの制御と回路
28 空気圧直動形減圧弁「利用しやすい圧力に調整」
29 直動形減圧弁の数学モデル「PQ特性」
30 減圧弁流量特性の代替試験方法「JIS B 8372-3」
31 空気中の水分「飽和水蒸気量と飽和水蒸気圧」
32 絶対湿度と相対湿度「湿り空気中の水蒸気量の表現」
33 コンプレッサ「空気の圧力を高める機器」
34 エアドライヤ「結露の対策」
35 空気圧フィルター、ルブリケータ、サイレンサー「周辺装置」
第6章 活躍する空気圧システム
36 空気圧におけるエネルギー概念「進む省エネ活動」
37 PV線図によるエアパワー「タンク内高圧空気のエネルギー」
38 空気圧エネルギーの計測「圧力と体積に依存する有効エネルギー」
39 空気圧タンク充填時のエアパワー「圧力の上昇速度」
40 タンク放出回路のエアパワー「圧力の下降速度」
第7章 空気圧真空機器
41 真空の応用とエジェクター「低真空領域と高真空領域」
42 空気圧による非接触搬送技術「製品トラブルを軽減」
43 空気圧による漏れ計測「品質を確保する」
44 温度変化が漏れ計測に及ぼす影響「外気温との関係」
45 漏れ計測における温度補正「原理と応用」
46 差圧式漏れ計測法「現場で求められる短時間での計測」
第8章 空気圧機器と要
47 空気圧サーボ弁の分類と比例弁「精密・速応性が求められる分野への応用」
48 ノズルフラッパ形サーボ弁「圧力を制御する」
49 空気圧シリンダエンドクッション「ブレーキの役割」
50 プロセス制御用調整弁「防爆性を有効活用」
51 ラディアルスリット弁「層流で行う空気圧抵抗」
52 空気圧増圧器「省エネに貢献」
53 フルイディックス「付着と剥離を利用した流れの性質」
54 空気圧ゴム人工筋「軽量、高出力、そして柔軟」
第9章 空気圧の応用
55 空気圧の車両への応用「自動車、観光バス、新幹線」
56 空気圧継手「ブレーキ力を制御する」
57 エジェクターを用いた真空トイレ「少量の水で済むカラクリ」
58 空気圧による免震技術「建物を浮かせる」
59 航空機操縦者用空気圧耐Gスーツ「下半身の血流滞留を防ぐ」
60 空気圧釘打機システム「圧縮空気を一気に開放」
61 空気圧を用いた血圧計測「空気圧カフで動脈を圧迫させる」
62 血圧計測のための空気圧制御系「短時間での測定」
63 内視鏡手術ロボット「力感覚を医師にフィードバック」
64 空気の波動、インパクトエアブロー「空気圧の威力を増す方法
・著者紹介
〇著者
香川 利春(かがわ・としはる)
1974 年東京工業大学制御工学科卒業。同年、北辰電機製作所技術部門、1976 年東京工業大学工学部助手、講師、助教授を経て、1996年精密工学研究所教授。ドイツアーヘン工科大学客員研究員。現在、東京工業大学名誉教授、(株)空気圧工学研究所代表、配管技術研究協会代表理事。生体計測、プロセス制御、空気圧工学を研究
●受賞歴
英国バース大学PTMC 最優秀論文賞、計測自動制御学会蓮沼賞、産業標準化事業表彰・経済産業大臣表彰
●著書
『圧縮性流体の計測と制御 空気圧・ガス圧工学解析入門』『圧縮性流体の計測と制御 空気圧解析入門』(共著、日本工業出版)」
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