自然と芸術が育むリジェネラティブ集落構想プロジェクト「あしたの畑」、2025年8月9日より夏期公開



NPO法人TOMORROW(理事長:徳田佳世)は、2025年8月9日(土)から9月15日(月・祝)まで、京都府京丹後市間人(たいざ)・宮(みや)地区の4つの展示空間を期間限定で一般公開いたします。

「あしたの畑」は、食とアートを通じて人が集う場を生み出し、地域の自然や文化を次世代へつなぐ集落構想プロジェクトです。5年目となる今年度は、自然と向き合う“リジェネラティブな生活(再生的な暮らし)”、“アートが社会で循環すること”をテーマに、異なる世代や多様な分野の人々が交わる文化芸術活動のかたちを探ります。

今回、現代美術家 AAWAAとともに3年をかけて制作した「間人レジデンス」を初公開します。入口から内部に続く丹後の朱土で仕上げた空間、上世屋の和紙を組み合わせた「白い紙の部屋」、朱土から着想を得た浴室、間人の土を混ぜた紙を用いた「間人紙の部屋」など、4つの空間の全貌を披露します。

また、建築家 アンナ・ヘリンガーと陶芸作家 マーティン・ローチとともに取り組んでいる「宮ティーハウス」のプロセスを公開します。本作は、式内大社・竹野神社が鎮座する宮地区で、地域の土と伝統技法を用いた半屋外のアートインスタレーションを創出し、地域の人々が集い、育てた植物のお茶を通じて交流する場とすることを目指しています。夏期公開では制作過程の模型を展示するほか、10月から12月にかけて、アンナ・へリンガー、Lehm ton Erdeのスタッフが指導するワークショップやレクチャーを開催予定です。

なお、会期中の公開日には、通常は入ることのできない展示空間をスタッフによるガイド付きツアー形式で鑑賞いただけます。8月9日(土)は「間人レジデンス」で、現代美術家 AAWAAが会場にて解説予定です。詳細な作品情報や公開スケジュール、ワークショップの参加方法は、公式サイトをご覧ください。

*メインビジュアルは、画家 荻原美里が間人の風景を水彩で描き、Cozfish(祖父江慎)がデザインを手がけました【荻原美里「あわい道」2025年、デザイン: cozfish】

「あしたの畑2025:夏期公開」開催概要

名称:あしたの畑2025:夏期公開

会期:2025年8月9日(土)- 9月15日(月・祝)の土・日・月曜、祝日 *火~金曜休み

   11:00-17:00 最終入場16:00

会場:間人スタジオ、SEI TAIZA、間人レジデンス、宮のあしたの畑

鑑賞料:1,000円(全会場共通) 1時間ごとのツアー制/要事前申し込み

   〈宮のあしたの畑〉の作品は常時自由鑑賞、無料

アクセス:https://maps.app.goo.gl/gxwhEuCiPwWQpwmj6

主催:NPO法人TOMORROW、独立行政法人日本芸術文化振興会、文化庁

委託:令和7年度日本博2.0事業(委託型)

助成:森村豊明会

公式サイト:https://tomorrow-jp.org/program/2025summer/

チケット購入:https://square.link/u/20G8pcnU

CREATORS 
いとをかし(和紙職人)、荻原美里(画家)、嘉戸浩(唐紙作家)、佐藤聡(ガラス作家)、祖父江慎(グラフィックデザイナー)、中川周士(木工作家)、中須左官店(左官)、藤田幸生(表具師)、AAWAA(現代美術家)、Anna Heringer(建築家)、Ken Gun Min(現代美術家)、Martin Rauch(陶芸家)、Sangho Noh(現代美術家)、Teresita Fernàndez(現代美術家)

ART SITES

間人レジデンス

自然素材を最大限に活かし、日々の暮らしと制作活動を重ねることができる居住空間「間人レジデンス」。本作は、現代美術家 AAWAAが京丹後・三坂神社墳墓群から出土した辰砂(しんしゃ)の土にインスピレーションを得て、この土地に根ざす素材や古代からの営みを現代の暮らしに結び直す試みでもあります。小さな創造が積み重なる空間は、深い休息と対話の芽を宿し、明日へと続く営みを育んでいきます。

「間人レジデンス」は、複数の職人や作家との協働によって制作された4つの空間で構成されています。海を越えて伝わった文化や技術が育んだ丹後の歴史を想像し、静かな内省と創造の時間を提供します。

「土の空間」

入口から内部まで、すべてを土で仕上げた空間。中須左官店が手がけ、丹後の風土を肌で感じられる場です。

「白い紙の部屋」

“間人紙”と上世屋のいとをかしで作られた和紙を用い、表具師 藤田幸生が制作。白の濃淡と素材感の対比が、空間に柔らかな光をもたらします。

「浴室」

丹後の朱土から着想を得て設計された浴室。仕上げは中須左官店が手がけ、浴槽と洗面台は木工作家 中川周士が制作しました。

「間人紙の部屋」

グラフィックデザイナー 田中義久と唐紙職人 嘉戸浩が、間人の土を混ぜた和紙“間人紙”を制作。隣町の表具師たちによって空間として仕立てられました。

SEI TAIZA 

築60年の丹後ちりめん工場として使われていた建物を、織物の新たな可能性を探る間人初のアートギャラリー「SEI TAIZA」として再活用しました。2026年度より、「間人レジデンス」にクリエイターが滞在し、「SEI TAIZA」の周囲に、デザイン 橡の協力のもと選定・植樹した茶綿や藍などを用いて、織物にまつわる作品の制作と展示を行う予定です。

間人スタジオ

サステナブルな生活の空間を、土地の工法、素材と現代の思考、技法で、今とこれからの居住空間を作り上げる実験的な家屋。木工職人 中川周士による「木の部屋」など、建築と工芸を結ぶ新たな試みを行っています。

宮のあしたの畑/ Field of Stars

リジェネラティブなアート、工芸、建築作品の創造の場となる「Field of Stars」、建築家 西沢立衛による最小建築「納屋」、陶磁器作家 新里明士と加藤貴也による「あしたの畑窯」を展示。

宮ティーハウス ※2026年完成予定

「あしたの畑」では、これからの食と暮らしに着目し、自然と共存する新たな集いの場「宮ティーハウス」の制作を進めています。本作は、リジェネラティブ・アーキテクトとして世界的に知られるアンナ・ヘリンガー、陶芸作家 マーティン・ローチ、TOMORROWによる共同プロジェクトです。

地域の土を用いた伝統的な版築技法をはじめ、野花や薬草を建物周辺に植える計画など、土地の恵みを活かしながら環境を回復・再生するデザインを目指します。

展示コンセプトは「自然再生的アートインスタレーションと文化的対話」。土地と人の記憶を重ねながら、過去から学び、対話し、共に育つ空間を創出します。夏期公開では、本作のプロセス共有として、土で制作した模型を展示します。また、2026年の完成を目指し、地域住民や学生と版築を学ぶワークショップを行います。参加を通して、自然と調和する建築の可能性や、現代の暮らしに根ざす新しい“食とアートの場”を共につくりあげていければと思います。

あしたの畑について

「あしたの畑」の活動拠点である京丹後市丹後町は、日本海に面した丹後半島に位置し、豊かな歴史と自然環境をもつ地域です。日本海側最大級の古墳や遺跡が多く残され、日本最古の鏡や水晶玉、ガラス製品など、大陸とのダイナミックな文化交流に由来する出土品が多数見つかっています。また、山・川・海が近接する地形は良質な水と湿度をもたらし、江戸時代以降「丹後ちりめん」に代表される絹織物の産地として発展。海藻や間人ガニなど海の幸も豊かで、魚の発酵食品など食文化も多彩です。

「あしたの畑」は、こうした歴史と自然、産業が共存するこの地で、500年後の人々の誇りとなる遺産を生み出すべく、アート・工芸・建築・食の分野から集落環境を提案する活動を続けています。

「宮ティーハウス」版築ワークショップ 参加募集概要

◇作業内容(予定)

・突き棒やハンマーなどで土を突き固める版築の壁づくり

・土と砂利、石灰等を配合して材料づくり

・型枠の準備、組み立て、解体

・周囲の植栽の準備(整地、植樹)

◇参加条件/費用

・期間中、3日間以上参加できる方

・事前に実施するオンライン説明会にご参加ください

・交通費、宿泊費、滞在中の生活費は自己負担(参加費無料)

・宿泊場所は各自で手配ください

・高校生以下は保護者の同意が必要です

◇スケジュール

・ワークショップ実施期間: 10月28日(火)~12月21日(日)

・特別指導日: 11月2日~3日は、マーティン・ローチ、アンナ・へリンガー、左官職人による版築指導を予定 ※特別指導日は定員10名(先着順)

・オンライン説明会: 8月25日(月)13:00~14:00、9月7日(日)17:00~18:00

◇開催地

京都府京丹後市丹後町宮 「宮のあしたの畑」

◇詳細・申し込み方法

ウェブサイトをご確認ください。https://tomorrow-jp.org/program/rammedearth/

※記載内容は変更になる可能性があります。最新情報はウェブサイトをご覧ください。

共同クリエイタープロフィール

マーティン・ローチ

マーティン・ローチと、彼が代表を務めるLehm Ton Erdeは、過去35年にわたり世界各地で版築技術を活用し、多様なプロジェクトを手がけてきました。工業化が進んだヨーロッパにおいて、土という原始的な素材を、現代的かつ持続可能な建築資材として確立しています。版築のユニット化

を実現した革新性が高く評価され、ユネスコの持続可能な建築学教授に任命されるなど、国際的に活躍しています。

アンナ・へリンガー

アンナ・ヘリンガーは、持続可能な建築の分野で世界的に知られる建築家です。特に版築など、土を用いた革新的な手法と、地域の素材や技術を尊重した取り組みが高く評価されています。ガーナやバングラデシュでは、地域の人々と協働して学校などの施設を築くプロジェクトを多数実践。こうした活動により、ユネスコの持続可能な建築学教授にも任命されています。

NPO法人TOMORROW / あしたの畑

NPO法人TOMORROWは、芸術文化活動を核とする非営利団体。

「感動すること」を最上位の価値として定め、芸術文化活動を通し、豊かな心を育み、平和な国際社会を築く一因となることを目的とします。

2020年より京都北部の京丹後市間人地区にて開始した活動「あしたの畑」は、国内外で活躍するアート(建築・工芸などの表現を含む)と食のプロフェッショナルたちが、分野を超え、都市部では得られない地域の立場から、未来に引き継ぎたい日本の美しい景色を文化芸術的アプローチによって創造していくことを目指します。

Website https://tomorrow-jp.org/tomorrow/

Instagram @tomorrow_field

取材・掲載に関するお問合せ press@tomorrow-jp.org



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