2024年11月24日(日)渋谷WOMBで、レッドブル主催のフリースタイル・ラップバトルを開催。アーティストとしての総合力が求められるこの戦いで希代のリリシスト、輪入道が2度目の優勝!
レッドブルによるフリースタイル・ラップバトルの大会「Red Bull Roku Maru」が2024年11月24日、東京・渋谷の「WOMB」で行われました。他のラップバトルとは一線を画したフォーマットで、国内のトップMCがしのぎを削りました。
2021年に始まり、「Red Bull 韻 DA HOUSE」から「Red Bull Roku Maru」へとリニューアルされた本大会は、今年1月の大会から引き続いて2回目の開催。各自の持ち時間は60秒の2ラウンド制。3人のジャッジ(審査員)が勝敗を決めて、トーナメントの頂点を決定しました。
国内ではめずらしい時間制のフリースタイルバトルは、バトル特有の即興性のほか、1分間で“作品”を生み出す音楽性、ステージングなどのアーティスト性が求められます。MCたちの“地力”が試されるフォーマットは多くのヒップホップ・ヘッズたちの支持を得ています。
今大会には輪入道(2021年王者)、S-kaine(2022年王者)、呂布カルマ、ID、DOTAMA、楓、ミメイ、SIMON JAP、歩歩、MAKA、泰斗 a.k.a. 裂固、NillNico、PONEY、SATORU、道の15人の招待MCに加え、予選を通過した斑とsasuke、「Red Bull Roku Maru」アプリで選抜されたT-iDとえびちる。そして、リザーバーとして急きょ参加したala vivere luceの計20人のMCが頂点を争いました。
審査員には、KEN THE 390、ERONE、MC正社員。いずれもMCバトルシーンを支えてきた3人の重要人物。ホストMCは前回から引き続いてACEと怨念JAPの2人。
バトルDJとして、DJ YANATAKEとDJ TIGUが参加し、オーディエンスを盛り上げました。
ゲストライブには紅桜が登場。スタンドマイクが置かれたステージ上では、スポットライトを一身に集め、ソウルフルな歌声で代表曲「悲しみの後」などを歌いあげ、集まったヘッズもその歌声に酔いしれました。
バトルは1回戦から優勝候補の一角、呂布カルマがベテラン・道に敗れる波乱の展開で幕を開けました。
第2試合は、第1回大会で準優勝のMAKAとPONEYが対戦。2バース目にはアップテンポなビートに合わせて、PONEYがキャリアの年輪を感じさせる「明日好きなやつに好きと伝えろ/いつ死ぬかなんてわかんねぇぞ」「ディスる必要なんて一個もねぇ」とポジティブなリリックで会場を沸かせました。対する、MAKAは「俺はポニーじゃねぇ、全部がサラブレット/毛並みからちげえ/だから桁の違いを見せてやるぜ」と返すなど、パンチラインの応酬となり、2−1でMAKAが勝利を挙げました。
1回戦のハイライトとなったのは、DOTAMAと歩歩の一戦。先攻となった歩歩が、持ち味のバイブスを前面に押し出したフローやユーモラスな言葉選びで観客をロック。「口だけなら限界/俺なら突破/まるでスーパーサイヤ人/黙らせるこいつのうるさいヤジ」と完璧な立ち上がりを見せます。対するDOTAMAも「お前のスタイルはダントツでビッチ」などと得意の強烈なディスを浴びせましたが、歩歩のギャグも絡めたスキルフルなステージングの前に肩すかしとなってしまい、ペースをつかむことができず、歩歩が勝利しました。
60秒のバトルは相手のライムにアンサーする以上に、アーティストとしての力量を求められることになります。
2回戦以降は予選を勝ち上がったシードの斑やえびちる、sasukeなどの若手MCが登場しましたが、SIMON JAPや裂固など、実績あるMCが見事なステージングを見せ、キャリアに裏打ちされたスキルの高さで勝ち上がりました。
ベスト4に勝ち上がったのはMAKA、SIMON JAP、輪入道、IDの4人。いずれも主要なMCバトルで実績を残すMCが頂点を争いました。
MAKAとSIMON JAPの準決勝は今大会のハイライトとなりました。SIMON JAPが「俺らHIP HOPなけりゃ死んでいる」「負けたら終わりじゃねえ/やめたら終わりだよな この戦い」と語りかけるようにバースをキックすれば、MAKAは冒頭から低い声色のラガフローでバースをスタートするなど、持ち味を存分に発揮します。
SIMON JAPは「見ていたんだよ、どしゃぶりのさんぴんキャンプ」とヒップホップカルチャーでキャリアを重ねてきたことをアピールしましたが、MAKAは「俺まださんぴんキャンプの時代は高校生とか中学生だった」「でも、俺が22の時にさんぴんキャンプが復活したんだ」と自分のキャリアを重ねてアンサー。フローだけではなく、リリックの巧みさを見せるなど、多才さを見せて勝利をつかみました。
決勝は準決勝でIDを破った輪入道とMAKAの一戦。仁王立ちして相手に対話を仕掛ける輪入道と、フローとバイブスで会場を沸かせるMAKAのスタイルウォーズとなりました。
先攻の輪入道は「形にないものに求めた美学/その方がみんな踊れる気がする」「いいじゃん一分もあれば/自分のことだけじゃねぇ歌えちゃう」「今日は歩いてたどり着くビッグドリーム」と余裕を見せて仕掛けました。
後攻のMAKAは観客に向けてラガフローを駆使しながら、会場を沸かせます。一方、続く輪入道が「お前は客席/俺はここだ」「最終回みたいな顔していない?毎度ご挨拶だ」と逃げ道をふさいで自分の土俵に持ち込み、勝敗を決しました。
優勝した輪入道は大会終了後のインタビューで「8小節や16小節のラップバトルでは言いたいことが収まらないことが多い」とし、「60秒あれば言いたいことを落とし込むこともできる。自分のスタイルとの親和性が高かった」と手応えを語りました。
60秒にプライドをかけたMCたちの熱い戦い「Red Bull Roku Maru」。単なるバトルではなく、アーティストとしての総合力が求められるこの戦いを制したのは、希代のリリシストの輪入道でした。
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開 催 概 要
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名 称:
Red Bull Roku Maru 2024
日 程:
2024年11月24日(日)開場15時/開演16時
会 場:
WOMB(渋谷)
料 金:
一般前売チケット 5,000円(税込・別途ドリンク代)
バトル出場者:
輪入道(2021年王者)
S-kaine(2022年王者)
呂布カルマ
ID
DOTAMA
楓
ミメイ
SIMON JAP
歩歩
MAKA
泰斗 a.k.a. 裂固
NillNico
PONEY
SATORU
道
斑(予選通過者)
sasuke(予選通過者)
T-iD(アプリ選抜)
えびちる(アプリ選抜)
ala vivere luce(リザーバー)
ゲストライブ:
紅桜
審査員:
KEN THE 390
ERONE
MC 正社員
ホストMC:
怨念JAP
ACE
バトルDJ:
DJ YANATAKE
DJ TIGU
オフィシャルサイト:
https://www.redbull.com/jp-ja/events/red-bull-roku-maru
主 催:
レッドブル・ジャパン株式会社
大会ルール
「Red Bull Roku Maru」の大会ルールは1対1のフリースタイルバトルで、各自の持ち時間は60秒・2ラウンド制。ジャッジ(審査員)による投票でトーナメントを勝ち抜きます。日本ではめずらしい時間制フリースタイルバトルは斬新で、これまでにない画期的なバトルが展開されます。互いを罵り合うだけではなく、レッドブルのステージ上だからこそ炸裂するパンチラインには、新しい時代を感じさせる言葉の数々が生み出されます。