スポーツ障害とは


スポーツ障害とは、同じスポーツをずっと繰り返して続けることで身体の一部などが傷んでくることをいいます。

テニス肘、野球肩、ゴルフ肘、サッカー膝など各種スポーツの名前が付いたものは聞いたことがあると思いますが、すべては長い時間同じ部分を使い過ぎているのが原因です。

骨折、ねんざ、肉離れなど急激な力が加わって起こるものはスポーツ外傷とされて、スポーツ障害とは別物として考えられています。
 

スポーツ障害目次
成長期には特に注意
予防、改善のために
 1.ウォームアップ
 2.クールダウン
 3.練習をし過ぎない
 4.年齢だけで判断しない
 5.小さなサインを見逃さない

 

成長期には特に注意

老若男女問わず同じスポーツを繰り返してやることで誰にでもスポーツ障害になる可能性はありますが、特に多いのが成長期のジュニア選手。

成長期は下のグラフのように、平均的には女子で8歳から11歳、男子で10歳から13歳ぐらいで、男女とも1年間に平均でも10cm近く身長が伸びます。

人によっては1年で軽く10cm以上伸びることもありますよね。

身長の伸び

身長が伸びるときはまず骨が伸び、それを追いかけるように筋肉が伸びてきます。

骨の伸びが大きい場合は、筋肉の成長が追い付かず、常に骨を引っ張っている状態になってしまうのです。

じっとしていても筋肉の端の腱が常に骨を引っ張るような状態になりますから、それで激しく同じ動きをすると痛みが出てしまうわけです。

例えば成長期に多いオスグッド病

サッカー、バレーボール、バスケットボール、陸上、バドミントン、テニスなど、蹴る、飛ぶ、走る、止まる、など足をよく動かすスポーツをしている選手に発症しやすいものです。

成長期に大腿骨がぐんぐん伸びていきますが、太ももの筋肉がそれに追いつかずに引っ張られる状態になります。

その筋肉がくっついているのが膝のお皿の下のところ。

常時引っ張られている上に、激しく足を動かすことで腫れてきたり、酷くなるとそこがはがれてきてしまうのです。


※上の絵は膝の骨と筋肉の部分です。ここが強く引っ張られるせいで膝下の痛みが出たり、下の写真のように腫れてきたりします。


 

予防、改善のために

ウォームアップ

ただでさえ筋肉が強く引っ張っている状態ですから、できるだけ筋肉を柔らかくしなければなりません。
準備運動をしっかりやる必要があります。

だからといってストレッチで筋肉をぐいぐい伸ばすとより悪化させる場合があります。

運動前には静的ストレッチで筋肉を伸ばすだけというよりも、動的ストレッチで筋肉を伸ばすとともに温めて柔らかくする必要があります。

 

クールダウン

激しく運動をした後に急に運動をやめると筋肉にある血液が流れにくくなってしまい、めまいなど体調不良の原因になってしまうことがあります。

ゆっくりとクールダウンをしていくことで疲労回復を促しましょう。

軽いジョギングをしてから静的ストレッチをするのが最適です。

ただ、ストレッチは頑張りすぎずに気持ちいいところまでで抑えるべきで、痛いところまでやりすぎるとかえってスポーツ障害を悪化させます

あと、アイシングをやるのはお勧めできません
その理由はこちらに書いてみました。

 

練習をやりすぎない

同じ動きを繰り返すことがスポーツ障害の原因になります。

ですから、練習を一生懸命にやりすぎるのはどうしても身体に負担をかけてしまいます。

身体も大きくなり、技術もどんどんと向上して練習が楽しくて仕方がない時期だと思うのですが短い時間で集中してやることも大切です。

テニス、野球など利き腕側を常に使う場合は、反対の腕を使って練習してみるなども身体全体のバランスが取れるのでいいと思います。

 

年齢だけで判断しない

成長期は個人差がかなり大きく、同じ年齢だからといって同じ練習をしていると、選手によっては非常に負担がかかっている場合があります。

特に指導者は、年齢ではなく個人の体格や発達に合わせて指導しなければなりません。

画一的な練習を押し付けるだけでなく、各選手の成長や発達に合わせて練習をさせるように注意してください。

成長期に筋トレなどをしても身体の負担になるばかりですから、技術を習得させることをまず第一にメニューを組んであげてください。

 

身体の小さなサインを見逃さない

痛みを感じたら練習メニューを変えたり、控えたり、さらには病院で診てもらうということが必要です。

でも本人が気づかないうちに、または気になりながらも無視しているうちにスポーツ障害が進んでしまっていることがあります。

指導者はもちろん、ご家族も注意深く様子を見てあげることが必要です。

特に「なんかおかしい」、「痛い」と言いやすい環境を作ってあげてください。

違和感や痛みはスポーツ障害の信号ですが、試合に出られなくなるというのを心配して言わなかったり、最悪なのは指導者が「サボろうとしてる」と思い込んで厳しく指導することです。

今の勝ち負けも大切ですが、ケガでそのまま引退して将来をダメにしてしまう、なんてことには絶対にしてほしくないですし、スポーツ選手としては大成しないにしてもやり切ったと思える、ずっとスポーツが好きで大人になっても楽しめる、ということが人生にとってはもっと大切だと思います。

選手が指導者を信頼して痛いと言える環境を作ること、もし言わなくてもフォームの乱れから気付いてあげられるように努めてください。

長い目で見て素晴らしい人間を育ててもらいたいと願っています。

最後は大人の方へのお願いになってしまいました・・(笑)