アイシングは必要?


プロ野球、高校野球問わずピッチャーが試合後によくアイシングをしている姿がテレビなどで放送されています。

そんな姿を見た少年野球の選手までもがアイシングをするというのが常識になっているようですね。

身体も成長して長く活躍するために親やコーチが熱心に勧めているということも当然ながらあると思います。

 
 

アイシング目次
アイシングをしないで50歳まで現役
アイシングのはじまり
アイシングは否定?
アイシングの代わりに何する?
 

アイシングなしで50歳まで現役

でも、一方でピッチャーとして50歳まで現役で活躍されていた元中日ドラゴンズの山本昌さん。

彼はアイシングを一切しませんでした。

山本昌さんが特別に頑丈な体を持っていたのか?

そう思って少し調べてみると中継ぎのピッチャーもアイシングをしない方が多いようなんです。
アイシングをすると翌日肩が重くて投げられないということかららしいです。

ということを聞くと、実際アイシングというのは普段の練習後のひじや肩にとって必要なことなんでしょうか?

そもそもなぜアイシングをすることが言い出されて、勧められてきたのか調べてみると・・

 

アイシングのはじまり

元々は1978年にアメリカのDr.Mirkin(ミルキン医師)が発表したThe Sports Medicine Book(スポーツ医学書)という著書の中で言われ出したものだと分かりました。

その書籍の副題には『すべてのアスリート、コーチ、トレーナー、フィットネス愛好者が知るべきエクササイズ、トレーニング、栄養、薬、怪我について(ジョギング、スキー、スケート、ゴルフ、陸上、水泳、重量挙げ、自転車、レスリング、テニス、ホッケー、サッカー、野球、フットボール、全てのスポーツ選手のために)』

という長ーいタイトルが書かれていますから、スポーツ全ての教科書として書かれていたようですね。

その本では「損傷した組織によって引き起こされる痛みを和らげるのに役立つということで、怪我や筋肉痛には氷で冷やすのが良い」と述べられていました。

そこで提唱されたのがRICE処置(Rest:安静、Ice:冷却、Compression:圧迫、Elevation:挙上)でほぼ40年経過した今も日本では当然のように守られて、練習後のアイシングにつながっているんです。

では、今そのアメリカではどんなことが言われているのか調べてみよう、と思い立ったところ、Dr.Mirkinもまだご存命のようで、なおかつご自身のサイトがあったのでまずはそのサイトからチェックしてみました。(https://www.drmirkin.com/)

 

提唱者がアイシングを全否定

Dr.Mirkinは結構な年齢だろうと思いますし、昔の名残で相変わらずアイシングをお勧めしているのかなと思いながらサイトを読んでいってみたのですが、予想に反して過去のご自身を否定されていました。

Dr.Mirkin自身のウェブサイトで書かれているのが以下のようなことです。

○冷却することで回復を遅らせるかもしれない。

○冷却して足首の捻挫の痛みをいやすことはできるかもしれないが、筋肉痛の損傷を回復させるような証拠が見つからなかった

○筋肉が傷ついた部分には炎症細胞が侵入して、ホルモンを放出して治癒するのに、氷で冷やしてしまうと、せっかくの反応が遅くなってしまう

○それどころか冷やすことで血流が何時間も減少して、ひどい場合は神経損傷さえも引き起こすかもしれない。

自分が過去に書いた本を基に数多くのスポーツコーチがアイシングをしているにもかかわらず、それをちゃんと否定できるというのは、かえって立派に思いました。

ただ、提唱者が否定しているのに、まだアイシングを漫然と繰り返すのはどうなんでしょう。
少し調べるだけで提唱者本人が今では完全に否定しているのをすぐ探し出せるのですが・・。

体に良いと思ってやっていたのに、逆に悪いかもしれないというのでは無駄どころか害ですね。

ですから、アイシングを日常的に痛みもないのにやってしまうのは避けてください。

 

ではアイシングの代わりに何をすれば?

先ほどのアイシングの問題点から考えると、
血流をできるだけ増加させて炎症細胞の侵入をさせてやって、回復させる」
ということがポイントになるかと思われます。

血流を増加させるといった場合、マッサージ、ストレッチ、入浴、などが挙げられるでしょう。

スポーツをした直後にひとりでも簡単にできるものとすればまずストレッチでしょうか。

ストレッチというと、腕や足などの筋肉を10秒、20秒などゆっくりと伸ばしていくというものをイメージされると思います。

これは静的ストレッチと言われるもので、スポーツの後のクールダウンに最適です。

逆に静的ストレッチはウォームアップにはなりませんので、静的ストレッチをした後にすぐに激しく動いたりすることのないようにしてください。

※ウォームアップに最適なのは動的ストレッチになります。